=現在進行中・確定ほかの主な裁判(2020年12月現在)=
【現在進行中の裁判】
1、「埋立て免許取り消し訴訟」(2008年10月20日山口地裁に提訴)
原告:祝島の漁業者74人 被告:山口県
内容: 2008年10月22日山口県知事が田ノ浦の埋め立てを許可したことに対する取り消し請求。原告側は、埋め立て免許は権利者への補償が前提であり、祝島の漁業者が上関原発建設にかかる漁業補償金(約10億8千万円)を受け取っていない段階で免許を許可した山口県の行為は違法であると主張。山口県は原告ら祝島の漁業者には原告適格がないと主張。
2019年1月23日:山口地裁は判決で「原告適格がない」と訴えを却下。つまり門前払い。
2月6日:原告43人が広島高裁に控訴。
2020年1月15日:広島高裁が控訴棄却。裁判長は山口地裁判決を支持し「埋め立てによって権利を喪失
する状況にない」とした。原告団長の山戸貞夫さんは「私たちの生活を奪い、破壊する
ことを認める判決」と批判し上告を決意。
2、「自然権訴訟」(2008年山口地裁に提訴)
原告:上関の自然を守る会、祝島島民の会、祝島島民個人、全国の個人49人が原告、スナメリ・カンムリウミスズメ他野生動物生物
被告:山口県
内容:山口県が中電に対して行った公有水面埋め立て事業の免許取り消し請求。
状況:野生動物については原告適格がないとされ棄却、その他は継続して審議中。2009年10月の中国電力による工事区域を示す灯浮標の設置をもって「着工」とするのは誤りであり、中国電力への埋め立て免許は失効しているという請求を原告が2010年12月14日に追加。
2019年1月23日:山口地裁は判決で「原告適格がない」と訴えを却下。つまり門前払い。
2月5日:原告が広島高裁に控訴。
2020年4月17日:広島高裁が控訴棄却。裁判長は山口地裁判決を支持し「自然環境に関する利益は法
の保護する利益には該当しない」とした。原告団長の高島美登里さんは「納得ができな
い。最後まで戦う」と上告を決意。
5月1日:最高裁に上告。
3、「埋め立て禁止住民訴訟」(2013年、山口地裁に提訴)
原告:山口県民有志 被告:山口県
2018年7月11日:山口地裁は、県知事の判断留保の行為は裁量権の逸脱で違法であり、県側に240円の返還請求を命
じる判決。
7月23日:山口県が広島高裁に控訴。
2020年1月22日:
広島高裁が地裁判決を破棄し、訴えを棄却する逆転敗訴。裁判長は「裁量権の逸脱かどうかを
検討する場合、考慮すべきは申請者の利益だ。中電は判断留保に任意に同意していると認め
られ違法とはいえない」と判断。原告は「中電と県の利害関係だけで判断されたのは非常に残
念」などと話し上告方針。
10月20日:最高裁第3小法廷は、上告不受理を決定。2審広島高裁判決が確定。
【過去の確定ほかの裁判】
1、「埋め立て免許失効確認訴訟」
(2012年山口地裁に提訴)
原告:祝島漁民
被告:山口県
内容:山口県が出した公有水面埋立免許は失効していることの確認を求めた訴訟。
次回より自然権訴訟と併合審理となる。
2、「埋立工事妨害(陸域)に対する制裁金請求の間接強制申し立て
(2011年3月1日山口地裁に申し立て)
原告:中電 被告:祝島島民の会と祝島島民6名とシーカヤッカー6名
内容:海岸での埋立工事を妨害した場合1日936万円の支払いを求める。
2011年3月25日、審訊も開かず山口地裁が1日70万円の支払いを命じる決定を出す。広島高裁に抗告予定。
3、「作業船の妨害禁止の仮処分」
(2011年2月21日山口地裁に申請)
原告:中電 被告:祝島島民たち
内容:埋立工事区域へ向かう作業船の航行妨害を禁じる仮処分
2011年4月1日、中電が仮処分申請を取り下げる。理由は原発事故を受け住民への説明を優先するため。
4、「海岸の使用・通行妨害禁止の仮処分」
(2010年9月29日山口地裁岩国支部へ申し立て)
原告:祝島島民の会と祝島島民6名とシーカヤッカー6名 被告:中電
内容:田ノ浦海岸の使用や通行の妨害行動を想定した仮処分
2011年2月21日、山口地裁が申請を却下する。広島高裁に抗告中。
5、「埋立工事妨害禁止の仮処分(陸域)」
(2010年7月30日山口地裁へ申し立て)
原告:中電 被告:祝島島民の会と祝島島民6名とシーカヤッカー6名
内容:海岸での田ノ浦の埋め立て阻止行動を想定した仮処分
審訊:9月29日(第1回審訊)、10月18日までに書面提出を受け決定を下す予定。
2011年2月21日、山口地裁が申請を全面的に認める決定を下す。それに対し3月に異議申し立て。
2011年12月13日、異議申し立てに対する第3回審尋で裁判官が中電に仮処分申請の撤回を提案したが
中電は取り下げないと回答。
2012年7月2日、和解が成立し、中電が仮処分申請を取り下げた。
和解条項は、住民側は中電の仮桟橋補修や生物調査などを妨害しない、中電は20人以上の作業員を
立ち入らせ、5日間以上の作業をする際は住民側に事前通知するなど。期間は当面の10月31日まで。
6、「埋立工事妨害(海域)制裁金請求の間接強制申し立て」
(2010年2月2日山口地裁岩国支部へ申し立て)
原告:中電 被告:上関原発を建てさせない祝島島民の会と会員39名
内容:埋立工事を妨害した場合、1日936万771円の支払いを求める
審訊:2月25日(第1回審訊)、3月31日中電の主張を認める決定(損害金は500万円に減額)。4月9日広島高裁に抗告。広島高裁での第1回審訊(6月8日)。6月に高裁で抗告棄却。最高裁に特別抗告したが、2010年11月22日に棄却され、1日500万円の制裁金が確定。
7、「4800万損害賠償請求訴訟(準備工事妨害行為者に対する)」
(2009年12月15日山口地裁岩国支部へ提訴)
原告:中電 被告:祝島島民2名とシーカヤッカー2名
内容:田ノ浦での11月5日より11月11日までの工事停止による損害4792万円の支払いを請求
状況:これは典型的なSLAPP訴訟(大企業や権力による市民・住民運動への口封じのための訴訟)であると指摘されている。
公判:2010年2月25日(第1回)、5月13日(第2回)、6月24日(進行協議)、7月22日(第3回)、9月9日(第4回)
8、「埋め立て工事妨害禁止の仮処分(海域)」
(2009年10月9日山口地裁岩国支部へ申し立て)
原告:中電 被告:祝島島民38名とシーカヤッカー1名
内容:田ノ浦の埋め立て阻止行動を想定した仮処分
審訊:3回
判決:2010年1月18日岩国支部が仮処分を認める決定。島民側は2月1日に異議申し立て。3月31日異議を却下。4月9日広島高裁に抗告。9月15日抗告棄却され、最高裁へ特別抗告。2010年11月19日に主張の一部を除き抗告の許可が出される。2012年9月4日、最高裁が抗告棄却を決定。岩国支部の決定が確定。
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9、「林春彦宮司さんの偽造辞任届け事件」(山口地裁岩国支部に提訴)
原告:林眞木雄さん(晴彦さんの弟さん) 被告:山口県神社庁
内容:四代八幡山宮司の林春彦さんの宮司退任届けを偽造されたことは名誉毀損であると提訴。
公判:広島高裁は、3回目の公判日である2010年4月25日に公判継続を認めず結審を宣言。9月2日控訴棄却される。
上告するも2011年2月、上告棄却される。
10、「四代八幡山(神社名義地)裁判」(2005年山口地裁岩国支部へ提訴)
所有権移転登記の抹消登記手続き等訴訟請求、入会権確認請求訴訟
原告:四代共有地者 竹弘盛三さん 被告:中電と提訴に同調しない住民
内容:「神社地」と呼ばれる共有地を中電に売却したことに、@入会権の確認、A中電の登記抹消、B現状変更工事の禁止を求める。
公判:2009年6月25日広島高裁判決。入会権の確認部分は取り消して、山口地裁に差し戻し、その他は棄却。2009年7月7日に最高裁に上告、中電は7月9日入会権確認で上告。2010年9月15日、最高裁は双方の上告を受理せず、所有権移転登記抹消と工事禁止の訴えを棄却した高裁判決が確定。入会権確認については岩国支部に審理を差し戻した。
(差し戻し審)は、2012年10月31日に結審。2012年12月26日山口地裁で、請求棄却の判決。
2013年10月31日、広島高裁で控訴審第1回公判、即日結審。
2013年12月12日、広島高裁で控訴棄却の判決。同24日、最高裁へ上告受理申し立てを行う。
2014年11月、原告の竹広盛三さんが死去。
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